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政治的に妥当な愛の記念日
PC(political correct)に基づいた換言は、EQ2の世界にも及ぼされます。PCの基礎を紹介すると共に、次の換言対象を予測してみます。
Happy Erollisi Day!
ここCastleview Hamletでは、泉(The Fountain of Valor)の脇に陣取った吟遊詩人が燃え上がる様な旋律を掻き鳴らして激しい愛の歌を歌い上げています。一方、The Bed and Book Innの一階では、椅子に腰掛けた吟遊詩人が静かな調べに乗せて悲しくも切ない愛の歌を紡いでいます。Froglokは互いに明るく喉を鳴らし、High Elfも一時の逢瀬を育んでいます。……愛っていいですね(遠い目)。
ともあれ、patch messageにもその旨が書かれている通り、少々気恥ずかしい棒っきれが貰える催し物がNorrathでは盛んです。
さて、この愛の記念日が、何故St. Valentine's Dayと名付けられていないのでしょうか。さらに、あの12月rollback事件の頃は、何故Merry ChristmasではなくHappy Holidaysと名付けられているのでしょうか。
これらはrole play的なflavorでしょうか。確かにそれも一理あります。しかし、それだけでは片付けられない事情があることに、少なくない方はお気づきであるかと思います。
鍵となる概念は正義です。「愛と正義の」という形容はあらゆる物事の王道ですね。
本日は、Norrathに於ける愛の神であるErollisi Marr(エロリッシ=マー)と双子の、光と正義と勇気の神であるMithaniel Marr(ミサニエル=マー)にもご登場いただくことに致しました。
Valentine's Dayのあらまし
この季節、かつてのRomaに於いては、女性の名前を書いた紙片を未婚男性が籤引きし、引き当てた女性とお付き合いをするという祭事がありました。今日で言うところの「フィーリングカップル5対5」(ぅゎ、古ッ)の原型ですね。
ところが風紀的な問題からこれが換骨奪胎され、Christ教の聖人を祭る日となりました。2月14日は聖人Valentinusが処刑された日にあたり、祭の守護聖人の座に納まったという塩梅です。
とにかくChrist教というものはこの手の換骨奪胎が十八番であります。冬至になって日の勢いが衰えることを恐れ、再び活気を取り戻して貰うべくして太陽神を祭った最大の祭りをChristmasにといった具合に、復活祭やら何やら、ひっくるめて大部分は「後付け」の理由によるものです。
既存の異教の神を悪魔として神学体系に組み込むだけではなく、異教の祭りの実体はそのままないし若干手を加えた程度で、形式だけ聖人由来の物事を被せるというやり方は、形式的にせよ布教を行う上で必須とも言えるものでした。
この辺りは面白いところで、中世に至ってもなお、本質的なChrist教の布教率が微々たる物だったことも特筆すべきことです。
一般の農民はおろか、領主に至っても旧来の(異教の)信仰こそが根付いていました。現代に於いて葬式の念仏をBGMとしてしか感じられないように、当時の教会のMassも所詮は形式的なものであったのです。
何にせよこうして作り上げられていった文化がCatholicであり、こうしたごてごてとした後付けの、形式だけの、世俗的な物事を切り捨てる考えがProtestantでありますが、そろそろtrainの脱線が看過出来ない水準に達したのでこの辺で打ち切るとします。
political correct(政治的に適正な)
閑話休題。あぁそうでした、何故Erollisi Dayなのでしょうか。
2月14日はSt. Valentine's Day。そう信じて疑わないところに陥穽があります。
日本に於いては葬式の仏教、一年に一回しか詣でないので一番も二番もへったくれもない初詣の神道、年末は11月に入った頃から街にはChristmasの飾りが氾濫してそれに触発されたのか駅からの帰り道の保育園をちょっと行ったところにある道を挟んだM瀬さんとK林さんが園芸の延長か何か知りませんが年々きらびやかさを増す電飾を競い合う様を午前様の疲れた眼で生暖かく見つめることがあったなぁ(他意はありません)など、宗教の坩堝と化しているきらいがあります。しかし、ご存じの方も多いように、それは世界では稀な方なのです。
世界はChrist教だけの宗教が存在するわけではありません。もし熱心なMuslimが、これ見よがし、これ聞こえよがしにChrist教の祭事を喧伝されれば、心中穏やかではないはずです。
EQ2は、すなわちInternetは世界に門戸が開かれています。そんな国際的な場で、特定の宗教に深く関連した日を持ち出すことは、国際的企業SOEの取るべき道ではありません。そうした考えが、political correctness (PC)です。
political correctnessとは、「政治的に妥当であること」を意味します。これは、少数派・歴史的な社会弱者といった社会の周縁部に位置する属性を備えた人々への配慮を行い、歴史的に用いられてきた様な、差別と深い関わり合いのある言動を慎むという考え方です。
こうして、昨年末はMerry ChristmasではなくHappy Holidaysという文字が、今回はHappy Valentine's DayではなくHappy Erollisi Dayという文字が、それぞれpatch message等に並びました。
換言=妥当?
しかしよくよく考えてみれば、これらのeventは誰の目に見てもこうした小手先の「言い換え」だけにとどまっていることは明らかです。
上述の換言の例にも相通ずるところがありますが、ただ単純に言葉を換えれば全てが解決するわけでもなさそうです。真にPCを目指すとするならば、12月末や2月中旬がめでたくも何ともない宗教に配慮すべきかも知れませんね。
そもそもPCという考え方自体はとても健全であるのですが、一旦世論の天秤に勢いが付くと、少々のことでは傾きが収まらないことはよくあるものです。
日本に於いては、かつての肉屋という表現が精肉店に、かつての床屋という表現が理髪店に換言されました。無論ですが、これらの用語を是正することは、とても大切なことです。歴史的に醸成されて差別感を包含する用語を、私達は意識・無意識を問わず使わないようにしなければなりません。ATOK用の「共同通信社記者ハンドブック辞書」などもこれらの用語の妥当な置換候補を提示してくれます。
しかし、affirmative action(積極的差別是正措置)の行き過ぎが逆差別であるとの批判を呼んだように、言葉狩りまがいにがんじがらめに規制された表現が生み出されたこともまた事実です。例えば禿頭の人を指して「頭髪に不自由している人」であるとか、樵夫を指して「木材燃料を提供する人」であるとかといった物言いが挙げられます。
これらは“一次名詞が存在しない”という私達の先祖が積み重ねたツケであると言えましょう。そしてこれらの回りくどさは、時としては失笑を呼んでしまう事態に至りました。
換言遊び
さて、行き過ぎたPCは一部に於いて皮肉られて参りました。天秤に逆の力を作用させる、これもまた健全な大衆の意志が働きます。
PCを皮肉る方策として最も成功したものが、PCの言説それ自体を用い、その大上段に構えたいかめしい字面を笑うというものです。
Ethelbertのような貧乏人を捕まえて「資産が比較的少ない人」であると評したり、healがのろまなclericを捕まえて「healを行う判断が緩やかな人」であると評したり、何でも出来てもいずれも中途半端というclassを捕まえて「tauntもDPSも専門職よりやや不得手な人」と評するなど、ことEQに限ってもいくつもの笑い話が造られました。
斜に構えた言葉遊びは人気を評することもあり、身内でNorrathのアレゲな点を政治的に妥当に表現してみたり、身内同士を政治的に妥当に茶化し合うのも良いかも知れません。ただし、友情にひびを入れないために、濫用はくれぐれもお慎みください。
「次」は何か
さて、12月25日、2月14日とくれば、「次」を邪推したくなるのが人の心というものです。
SOEは海岸系企業なので、7月4日の独立記念日や8月15日の対日戦勝記念日は考えにくいです。11月8日は素直に1st anniversaryとして祝えば良いので、これもPC的換言は用いられないでしょう。
となると一番怪しいのは3月27日の復活祭(Easter)と、11月1日の万聖節(Toussaint)とその前夜祭である10月31日のHalloweenでしょうか。何とはなしに、Halloweenあたりは、根源である収穫祭から類推して地母神Tunareがお出ましになるかも知れないと予測していますが、例の南瓜案山子(scarecrow)をわんさか出される可能性も高いです。案外、夏至あたりに炎の神であるSolusek Ro(ソルセック=ロー)が出てくるかも知れません。
よろしかったら、本記事をご覧の皆さんも奮ってご予想ください。当たってもEthelbertは何も差し上げられませんががが。その妄想の過程で、Norrathの神話への理解が深まれば、なおのこと素晴らしいでしょう。
おわりに
可愛げのあるSt. Valentine's Dayも、いかめしいpolitical correct filterが掛かれば、巷の女性が目もくれないような行事に成り下がりそうです。“いや、その方が幾ばくか心の平穏が保たれる”という意見が強く強く聞こえて参りますが、“義理でもなんでもいただけるうちが華さ”と開き直った私はもはや馬耳東風といった体たらくです。chocolateありがとうございました、美味しゅういただきます、何だか涙の味がします。
さて、俗世間に未練たらしく世迷い事をこねくり回しましたが、ここは一転して質実剛健に、自作派としての幸せを噛み締めることに致しましょう。この愛の日の一番の贈り物は、やはりかねてから噂されていたAMDのOpteron新製品発表と、既存水準品の価格改定でしょうか。
Tyan Thunder K8WE (S2895)に加え、期待の90nm Opteron "Troy"、しかも一気にRev. Eが颯爽と登場したことになります。AMDの愛と出費額の大きさに溺れそうです。
もっとも、すぐには店頭に並ばないということで、S2895とあわせ、桜の花の咲く頃までには組めると良いなと期待に胸を膨らませる今日この頃です。
なお例によって、Dual Opteron + SLIの自作機の完成と、EQ2JEのbeta test開始のどちらが早いかを賭けてはなりません。
Ethelbert @ Sebilis (2005年02月14日 23時56分)
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